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富裕層のための不動産投資

4.間違いだらけの「相続対策としての不動産投資」

不動産投資の目的を「相続税対策」としている人もたくさんいます。
多くの業者が「相続税対策に」と土地を持つ人や富裕層に対して営業をかけています。

「相続税対策でアパートを建てた、マンションを買った」
そのような人も多くいます。

不動産投資で相続税対策が、本当に可能なのかを検証します。

4-1.銀行で借金すれば節税できる、はウソ

結論を言うと、「国税庁通達」には、節税できる旨が明記されています。たとえば現金を1億円持っているとして、その場合の相続税評価額は1億円ですが、現金ではなく1億円で売却可能な土地を持っている場合、その土地の相続税評価額は80%の8000万円程度になります。相続税率が50%だとすると、現金1億円は50%の5000万円が相続税となりますが、土地ならば8000万円の50%、4000万円が相続税で、1000万円節税できることになります。

さらに建物を建てると建物で30%の評価減、土地は20%の評価減が認められ、仮に建物の固定資産税評価額が実売相場の50%とすると、そこからさらに借家権が30%控除でき、相続税評価額は実売相場の35%程度となります。

一方で、土地は路線価で8掛けとなり、借家権でまた8掛けとなるので、実売相場の64%程度になります。なお、借入金は額面のままマイナスの資産を評価されます。

借入してアパートを建築すると相続税が安くなる

金井義家『相続対策で消える富裕層、生き残る富裕層』(日本法令)の図を元に、編集部が作成

現金を土地に変える、借金してアパートを建築することで、相続税が大幅に安くなる。それは事実であり、国の資料にも明記されています。

昨今の不動産投資熱は、相続税法が改正されたことが大きな要因です。2015年1月から相続税の基礎控除が減り、3000万円+600万円×法定相続人の数の合計金額となりました。要は以前より基礎控除が4割減となり、その分相続税額が増え、相続税を課される対象も多くなったということです。さらに最高税率も引き上げられました。
相続税率一覧
この度相続税の対象となった、有効活用していない土地を持つ人に、ハウスメーカーや銀行はアパート・マンション建設を積極的に勧めています。

昨今、不動産投資に手を出す人が増加しているのは、将来の不安から安定収入を目指す人が多いのももちろんですが、課される相続税が重くなり、相続税対策をする人が増えたこと、ゼロ金利時代で銀行から融資を受けやすくなった、言いかえれば銀行が借り手を探していることなどが大きな理由としてあります。

4-2.赤字の物件を買って節税できる、はウソ

ある地主の富裕層は、融資を受けて6億円の不動産を購入しました。借金は6億円、不動産の相続税評価額は3億円となり、約3億円の評価減に成功しました。
この方の場合、相続税率は50%でしたので、何もしなければ6億円にそのまま相続税が課されて3億円の相続税が課されるはずでしたが、この不動産を購入することによって3億円の50%に相当する1.5億円を節税できたことになります。

個人ならば不動産を買ったその日から相続税対策になり、その不動産は相続が終わったら売却すればまた現金に変わります。

これらの方法は、理論上は可能に思われますが、実際にできる人は多くないと言えます。まず、お伝えしたようにアパート、マンション経営はそう簡単なものではなく、出ていくお金も多いことから、経営がうまくいかなければすぐに赤字になってしまいます。
節税のために不動産を買っても、肝心の不動産が赤字を垂れ流して利益を圧迫しては意味がありません。確かに税金の支払いは少なくなるかもしれませんが、それは利益を減らしたことを意味します。
ならば膨大な時間と費用を費やして行う必要はなかったのではないか? という結論に達します。

後者のケースも、「相続の終了後、すぐに高値で売れること」が必須条件です。
売りたいと思ってすぐに売れるのは、よほど購入者にメリットがある物件のみで、たいていはすぐに買い手がつかず、思っていたよりも安く手放すことになります。
必ず売れるとなると、立地がよいなど売れる理由がある物件となり、そのような物件は高いですので、購入価格も上がります。
返済もあるので、売れなければどこかで資金がショートしてしまうため、注意が必要です。

不動産を所有すると、固定資産税等も発生します。評価減のために現金を不動産にしても、それに伴い払う必要のない新たな税金を払い続け、売却しようにもスムーズに行えず、相続発生時には現金で持っていたほうが費用は少なく済んだ、となる可能性もあります。

・4-3.小規模宅地等の特例は適用外の危険も

相続税の節税策として、数字上はもっとも効果が大きいのが、小規模宅地等の特例です。配偶者や同居または生計を共にしている親族、持ち家のない別居している親族ならば、自宅の土地を相続する場合、最大330平方メートルまで80%評価額が減額されます。1億円の土地なら評価は2000万円に下がります。
小規模宅地等の特例の対象者と適用要件

この特例は事務所や店舗、アパート、駐車場の土地なども対象となり、使わない手はない制度です。
ただし、この特例は要件が非常に複雑で、内容も頻繁に変わるため、この分野に詳しい専門家に相談しなければ適用の要件が合わない可能性もあります。
元々「相続税の支払いのために家や店などを手放さなければならなくなったら、一緒に住んでいる家族の生活はどうなる、事業はどうなる」という理由のもとに存在する特例なので、特例を受けるためだけにそのケースに無理やり当てはめて特例を受けようとしても、うまくいかないケースが頻発しています。

特例を受けるためだけに条件を満たそうとしたものは本来の趣旨と異なるため、適用外になるよう国は要件を頻繁に変えています。
せっかく準備しても、適用を受けられなければ意味がありません。最悪なのは、この特例を受けられるよう、建て替えるなど手を加えて当時の要件を満たしても、その後要件が変更された結果適用されなくなるような事態です。
よくよく専門家に確認をすること、そして適用要件は変わる可能性があることを考えて、手を打つべきです。

・4-4.ほとんどの富裕層に相続税対策は不要

相続税の支払いで先祖代々の土地を取られる! そう思い様々な相続税対策を行っている富裕層がたくさんいますが、実はそう心配しなくてもいい、とされています。
『相続対策で消える富裕層、生き残る富裕層』において、「資産の時価総額1.75億円のH氏(東京都在住、配偶者と子供2人、自宅と賃貸アパート、現預金を保持)の相続税」を著者の金井義家氏が計算したところ、一次相続で345万円、二次相続で120万円という結果となりました。資産総額を考えれば難なく払える額で、相続財産に占める相続税の割合は2.2%です。

金井氏は「富裕層といえど、相続財産に占める相続税の割合が8%以下ならば、相続税対策は不要」と述べています。
相続税の最高税率55%が適用されるような人は、純資産で通常は20億円以上所有しています。そのような人はリスクを取って相続税対策をするメリットもありますが、仮に失敗しても、数千万円程度の損失であれば大したことはないでしょう。
先ほどのH氏のような、資産1億円台の人が相続税対策で数千万円損するのは、財産の何分の1かに及ぶとんでもない額です。
そこまでのリスクをとって行うには、あまりに見返りの少ない額です。
「税金のための不動産投資」は止めておくべきです。

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