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バリュー投資とは、「世界一の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェットが行っている投資の方法で、非常にスタンダードな投資方法であり、一方でこの手法が適用しにくい場面もある投資です。
バリュー投資とは、その会社の利益や資産に対して評価が低い銘柄に投資する方法で、格安株投資とも言われています。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェットもこの方法を実践しています。
バリュー投資を行うことのできる会社かどうかを判断する基準が、これまでも出てきたPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。
時価総額÷純利益(株価÷1株あたりの利益)で出すことができ、15倍以下なら低いとされています。
PBRは株価÷1株あたり純資産(純資産÷発行株式総数)で出すことができ、1~1.5倍程度で低いとされます。
会社四季報や証券会社の銘柄検索で、企業情報を調べればPERとPBRは掲載されていることがほとんどなので、すぐに調べることが可能です。
ウォーレン・バフェットは株価が暴落したときや景気が悪くなったとき、その他何らかの事情で株価が下がっているときをバリュー投資のチャンスと考えました。景気が悪いと株価も上がらず損をしそうと、多くの人が株を買おうという気にならないときこそ、投資のチャンスです。
優れた会社にとってみれば、全体に合わせて株価が下落しても、それは業績とは関係なく一時的なものであるためです。外的要因で株価が下がったとしても、会社がちゃんとしていれば必ず戻る、それがバフェットの考えです。
クレジットカードのブランド、アメリカン・エキスプレス社(アメックス)は1960年代、ある詐欺事件に巻き込まれて倒産の危機に直面したことがありました。企業の業績に問題はなくても業績が低下し、投資家たちが一斉にアメックス株を売り始めた時、バフェットは暴落した株を買いました。
街では多くの人がそれまで通りアメックスのカードを使い、銀行や旅行代理店はトラベラーズチェックを利用していることをバフェットはちゃんと調べていたからです。バフェットはアメックスが倒産しないと確信していました。
バフェットの予想通り、アメックスは数年後には経営を立て直し、株価を盛り返しました。
一時期35ドルまで下がっていた株価は180ドルに上がり、バフェットは時価総額で2000万ドルの利益を得ました。バフェットは企業を評価する確かな目を持っていたといえます。
ただし、あまり不景気が続くとよい会社でも倒産したり業績が悪くなったりする会社が増えるので、企業体力がどれくらいあるかは見極め、不景気時に投資しても大丈夫かをチェックする必要があります。
また、株価が下がった原因が不祥事発覚などの、上記の前提を覆すようなものの場合は例外なので注意が必要です。
バリュー投資に関する、バフェットの明言を紹介します。
「愚か者でも経営できるビジネスに投資しなさい。なぜなら、どのビジネスにもいつか必ず愚かな経営者が現れるからだ」
言い方は悪いですが「誰が経営してもうまくいくくらいしっかりした会社に投資せよ」というのがバフェットの教えです。
バリュー投資は、これまで説明してきたような性質を持つため、株を長く保有することが鉄則になります。
もっともよいのが不景気や、先ほどのアメックスのような何らかの事情で割安になっているときに買えることです。良い会社の株を持てば、上がる可能性が高い。非常に簡単な理屈です。
バリュー投資は割安の株を見極められれば利益が出やすいと言うことができ、長期投資であるため日々チャートをチェックしている時間のない兼業投資家と相性がいいものです。
チャートを見る力や時間よりも、株とはどのようなものかの勉強に時間や労力を割いてきた人と相性がいいと言えます。
一方でバリュー投資には、株価が下がったときにグッと売るのを我慢する精神的な強さや、株が割安かどうか見極める力が必要です。
先ほどのアメックスでも、バフェットが巨額の利益を確定するまでに数年の歳月を要しています。
多くの投資家があわててアメックス株を売り、ますます株価が下落したならば、のちのち上がる確信はあっても、心中は穏やかとはいかないでしょう。
他にも注意すべきことは、日本株ではバフェットのような超長期的なバリュー投資は向かないという意見もあることです。
その理由として、アメリカ株と日本株の株価の傾向が違うことが挙げられます。アメリカのNYダウ平均株価は長期的に右肩上がりとなっているため、バフェットの理論はそのまま適用も可能ですが、日経平均株価はそうではありません。最近は好調とはいえ変動、上下は結構あるので、持ち続けていて本当に上がると言えるのか、そこは注意が必要です。
バリュー投資をするときは、主戦場となる場所の株価事情を知っておくことも重要です。
バリュー投資をするうえで重要なのは、情報を得ることです。情報を入手するのにもっとも役立つのが、やはり四季報です。四季報とは東洋経済新報社が年に4回発行している、企業の業績や財務に関する情報が簡潔にまとまった書籍で、各社の公開されている情報を元に、東洋経済が取材や分析を行った情報が加えられています。
東洋経済新報社の言っている「会社四季報の読み方」は以下です。
1.営業利益は伸びている?
四季報の業績欄には、売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株益、1株配が掲載されています。その企業のこれまでの実績と、これからの業績予想が一覧で見られます。
その中の営業利益を上から順に時系列で追ってみてください。営業利益は、本業で出している儲けのことなので、ここが毎年伸びていれば、予想値もスピードを緩めず順調に伸びそうな会社と予測できます。
2.予測PERは15倍以下?
四季報の右上に株価指標欄があります。そこの予想PERを見てください。
進行中の期と来期の予想PERが掲載されていますが、その両方が15倍以下であれば投資対象の有力候補になります。
なぜなら、PERというのは、株価の割安さを測る指標で、日本の株価の平均がだいたい15倍と言われています。ですので、15倍以下であればおおむね割安と判断できます。
3.チャートは上向き?
株価指標の隣に掲載されているチャートを見ましょう。こちらは3年間の株価の動きですが、これが右肩上がりかチェックします。なぜ株価が上がるかというと、この株を欲しい投資家がたくさんいるからです。供給よりも需要が上回っている状態ですので、さらに株価が上がりやすいという特長があります。
チャートが上がっていると、そろそろ下がってくるのでは?と考えるのが普通ですが、この時点でPERが15倍以下であれば、この会社にとって今の株価はまだ割安なので上昇の余地があると考えられます。
最後に、バフェットのバリュー投資の礎となった、彼の師匠ベンジャミン・グレアムの唱えた理論について触れておきたいと思います。
バフェットはグレアムの著書を読んだのちに彼のもとで学び、彼の会社で働き、その後パートナーにもなりました。
グレアムの著書『証券分析』は、出版されたのが1934年とだいぶ前のものですが、今もその内容は高く評価されています。
適切な価格で株式を買い、充分に検討して分散された株式のポートフォリオを作れば、健全な投資が可能だ、というのが本書の主張です。
グレアムは若くして成功した投資家となるも、1929年の経済危機により破綻。投資の失敗が生活を破綻させるようなものであってはならないという考えを持っていたとされます。
そのような考えに基づいて、グレアムが成し遂げた成果の1つが「誰もが納得する「投資」の定義を定めたこと」です。借金をして証券を買い、短期間で儲けようと考えるのは、対象が債券でも株式でも投機、グレアムはそう考えました。
「投資とは、徹底的に分析し、元本と充分リターンを確認する作業だ。この要件を満たせないものは投機だ」
グレアムはそう語ります。
グレアムは「投資としての株式の買い方」を確立しました。それが「安全なマージン(差額)」と呼ぶものです。
その方法はシンプルで「ある株式が本質的価値よりも安い価格で取引されている時に買う」です。そして投資家には、価値より安く売られている株式を見つける方法が必要だとグレアムは述べています。
グレアムの言う投資のルールは2つです。1つは、まず、負けないこと。もう1つは、1つ目のルールを忘れないことです。
この教えはバフェットにも引き継がれました。
負けないためには、再三彼の言う「安全なマージン」である必要があり、それを2つのガイドラインで表現しています。
①純資産価値の3分の2の価格で株を買う
②PER(株価収益率)の低い銘柄に集中する
こうして計算した1株あたりの資産価値よりも株価が低ければ、絶対確実な投資手法と彼は考えました。
また、1社に固定せず、分散させた複数の企業の結果をベースにすべきだとも語ります。
グレアムはこう考えます。まず、株式市場でよく「なぜそんなに高い(もしくは低い)?」と思わされるような価格が登場するのは、人間の不安や欲望に起因する。
市場に楽観論が広がると投資家は貪欲になり、本質的価値よりも株価を高く押し上げる傾向があり、不安が市場に蔓延すると、株価は価値よりも低くなる。
もう1つの前提は、「平均への回帰」です。平均よりも落ちているものは上がり、平均よりも高いものは落ちる。
適切でない価格は必ず適切に戻る。純資産価値に対して価格の低すぎる銘柄は適切になる、PERの低い銘柄は高い銘柄に比べて収益率が高くなりやすい。PERが低い銘柄は市場で過小評価されている傾向が強く、リスクの割に相対的に高い収益を獲得できる可能性がある、それがグレアムの考えであり、まさにバフェットに引き継がれている教えと言えるでしょう。