富裕層バイブル

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税金はもっと減らせる! 富裕層・高額所得者のための対策

2.社長になってフェラーリに乗ろう! 合法的に贅沢品で節税する方法

この記事をご覧になっている方は、年収2500万円以上となると、サラリーマンの方は少数で、ほとんどの方がご自分で事業をされていたり、開業医などの専門職の方と思います。ご自分の事業について、かなりコントロールが可能な地位にいらっしゃる方は、そのポジションを活かしてあらゆる節税のための手立てを行うことをお勧めします。

まずは手をつけたいのが「経費」です。収入-必要経費=所得 であり、所得の額に応じて課税されるので、収入額は同じでも経費が多いほど所得を小さくでき、課税される額を減らすことができます。そのためいかに経費を多くするか、が節税の第1歩といえます。そして会社の社長になると、サラリーマンと違い、使える経費の額が大きくなります。その種類も多岐にわたり「こんなものも経費になるの?」というものもあるのです。

では経費とは何か、簡単に言えば「売上をあげるためにかかった費用」であり、その大原則は「売上収入との対応関係があること」です。つまり、経費であると認められるには、「売上をあげるために使用したお金である」と証明できること、それが求められます。

2-1.「経費と確実に認められるのは5%。残りの95%は交渉次第」

ある税理士の言葉です。どう考えても経費であると100人中100人が言うようなもの、たとえばオフィスの家賃などは確実に経費として認められるものです。上の言葉の通り、そのような確実に認められるものは、むしろ例外と言えます。売上をあげるための出費かどうか、一概に言えないことがほとんどだからです。

たとえば、普通の会社がマンガ雑誌を購入した場合、その費用は経費になりません。事業に関係しないと判断されるからです。
しかし、マンガの製作会社がマンガ雑誌を購入したならばどうでしょうか。「作品を完成させるに当たり、参考にするべくよく売れている作品を調べた」と言われれば、売上をあげるために使用したお金とも言えます。もっともな説明は可能ですが、だからといって「仕事に関係あるものです」と言い切ることはできません。どこまで仕事に関わっているかを、誰もが納得する形で判断できる根拠など存在しないからです。

そのような理由から、経費であると認めてもらうために大切なのは「聞かれたときにきちんと理由を説明できること」であるとされます。「このような理由から売上をあげるために必要な出費である」と、支払った人が説明できること、それが大切です。そしてその際によく基準として使われるのが「社会通念上」「常識の範囲内で」という言葉です。

2-2.フェラーリは経費にできる? できない?

税金に関して、人は様々な抜け道、裏技を探し、考えるものですが、税務とは極めて常識的にできている仕組みです。常識的に考えて問題なければ経費は認められ、おかしいと思うものであれば、認められない。以下の話は、その点が問われた実例です。

「フェラーリを経費で落としたい」
そう考える人がたくさんいますが、果たしてそれは可能なのでしょうか。1つ判例があります。平成7年10月12日の国税不服審判所の裁決です。ある中小企業の社長が、会社名義で購入したフェラーリが経費として認められなかったことに対し不服申し立てを行い、税務調査では否認されていたフェラーリが経費であると認められたのです。

2-3.税務調査では否認されたが……

この件ではこの会社に税務調査が入り、その際に通勤用および業務用としてフェラーリ(2700万円)を購入していたのに対して「社長の私的利用を目的とした購入であり、経費として認められない」とされました。先述のとおり、その決定は覆ったわけですが、その根拠となったのが以下の事実です。

 1.そのフェラーリは、社長の通勤等で車検を受けるまでの3年間に約7600kmの走行距離を記録していた
 2.この会社は会長用にロールスロイス、役員用にベンツを所有しており、これらの車はそれぞれが使用していたのは事実。これらの高級外車が使われている理由は、個人的な趣味は間違いないが、安全性や乗り心地、中古車として売却する必要が出た際の価値といったことを考慮した結果である
 3.出張時の旅費精算書を見ると、役員には、社用車を使った日帰り出張では旅費は支給されていない。遠方の場合も社用車を使った場合は、宿泊費や高速代、日当は支給されていても、交通費は支給されていない

これらのことから、実際に業務で使用しており、社長自ら運転して出張に行くこともあった。移動はフェラーリなのでその他の交通機関を使用する費用は発生していない」と根拠が明確になり、フェラーリは経費として認められました。

国財不服審判所は、フェラーリが社用車であることは社長の個人的趣味であると言いつつも、事業用で使用していたと推測できるとして、「業務に使用するので経費」というその社長の言い分は成立したのです。ちなみにフェラーリの3年で走行距離7600kmとは、年間約2500km、1月200キロ、月の営業日が22日として1日平均10km走っていたことになります。

2-4.判決が覆る理由となったのはこの事実

この判決を聞いて「経費になるからフェラーリを買って乗りまくれ!」と考えるのは早計です。判決に影響したであろう事実として、ほかにも以下のことがあったからです。

 1.その社長は、個人名義で外車3台を保有。それらは完全にプライベート用で、フェラーリは業務用と明確に分けていた
 2.「接待用、福利厚生用」とされたクルーザー(2650万円)は、経費に認められなかった。その根拠として「誰を乗せたという記録を残しておらず、運航の事実も燃料の使用状況からしかわからないため、事業用として使用したかどうかを確認できない」「従業員の福利厚生で利用した記録も、福利厚生のためのものであると規定した文章もない」といったものが挙げられている

また、以下の「会社が儲かっていた」事実も見落としてはなりません。

 ・その会社は約4億円の利益をあげ、約1億5000万円の税金を払っている
 ・社長の役員報酬は年3600万円だった

充分に儲けを出している会社で、車好きな社長がフェラーリを社用車にし、遠方への出張にも利用していた、と証明された結果と言えます。また、3600万円稼いでいる社長が2700万円のフェラーリを購入するのは無理がありません。移動だけを目的とした社用車として使うのであればもっと安い車はいくらでもあるので、若干無理はありますが、「常識的な判断」とされました。

「何でも経費にできるならしたい」気持ちが先走り、その後税務署に否認されないためにも、経費は無理のない形、常識的な範囲内で考えていくのがよいでしょう。

2-5.中小企業の社長は「歩く節税対策」

「常識の範囲内」を強調しましたが、その中であれば、経費にするための手段をどんどん実行するべきです。特に中小企業の経営者ならば、どこからが仕事でどこからがプライベートかもはっきり分かれていないことも多いでしょう。「土曜日にゴルフ場で一緒に回った人と終わる頃に商談が成立していた」というのはよくあることです。社長のすることなすことは、すべて仕事につながると言えます。社長のすることなすことは、すべて節税対策につながるとも言えるのです。先ほどのフェラーリを経費にしていた社長のように、うまく公私混同することも、節税かつ実は経営を長続きさせるコツです。

2-6.社長の集まりで「ここは私が払います」とみんなが言う節税上の理由

そのもっとも簡単でわかりやすいものの1つが「飲み代」です。法人税法では本来接待交際費は経費(損金)として認められていませんが、現在は特例で資本金1億円以内の中小企業は年間800万円までの接待交際費を税務上の経費に計上できることになっています。接待交際費としての支出なので、「接待交際」の形をとる必要があります。誰かを接待する形です。

なお、接待といっても、少しでも仕事に関係のある人、売上につながる可能性がゼロではない人であれば、接待交際費の対象となります。中小企業の経営者になると、先ほどのゴルフのようにどこからビジネスチャンスをつかむかもわからないため、この範囲も広くなっているのです。

経営者同士の会合などで、会計の際に「ここは私が」「いえ私が」の奪い合いになることがよく見られますが、それは接待交際費の額を増やしたいからという理由もあります。また、この費用は飲み代以外にもゴルフなどのレジャー、贈答品などにも使用可能で、交友関係全般にかかる費用をカバーします。

飲食に関しては、「会議費」が使えます。会議中に飲食をしたときなどの支出に関して認められた経費で、1人3000円程度が「常識的な額」とされています。会議後に飲みに行くのにも使用可能ですが、会議費が経費として認められるには「会議をするのにふさわしい場所」の必要があり、居酒屋などでは否認される可能性が高いほか、酒類もこの場の常識的な量とされる1人あたりビール1、2本程度を超えない、その場で本当に会議が行われたことを記録するなどしなければなりません。

会議費は、社内の人との飲食にのみ使用可能です。社外の人と飲む場合は「5000円以下の特例」が使えます。本来、接待交際費は経費にできないのですが、1人5000円以下の飲食費は例外的に全額会社の経費にできます。条件として①社外の人と飲む②飲食費は1人あたり5000円以下にする のほか、以下を記録し、書類を保存しておかなければなりません。

 ①その飲食などのあった年月日
 ②参加した得意先、仕入先、その他事業に関係する人などの氏名または名称とその関係
 ③参加人数
 ④費用と飲食店などの名称とその所在地
 ⑤その他参考になりうる事項

2-7.キャバクラも経費だ!「娯楽」を「経費」にするギリギリライン

上記の理由から、キャバクラに行くのも接待交際費として経費にすることができます。「昼間の商談では話がまとまらなくても、そういう人はキャバクラに連れていけば翌日には契約したいと言ってもらえる」と、キャバクラを戦略的に使っている社長もいるので、売上を上げるために必要な経費です。取引先の会社の名前など、取引先を接待した事実をきちんと記録しておくことが大切です。

そのほかの公私混同の方法として、視察旅行もあります。会社の業務に少しでも参考になっていれば経費と認められます。欧米の市場を見る、アジア市場をチェックしたい、と理由を明確にすれば、行く場所も好きに選べます。

ただし、あくまでも視察旅行であるという体裁を整える必要があり、どこに視察に行くというプランをしっかり組んでおくほか、業務レポートや何を得て帰ったか、といったことをしっかり残しておく必要があります。それがなければ税務調査で「視察旅行ではなく観光旅行」と否認されてしまいます。

その他に会社の経費で落とせるものに書籍や雑誌もあります。それにより直接売上があがったと証明することは困難でも「情報収集のため」とすれば、仕事に関係している部分はわずかでも経費として認められます。業界や世間の動向をつかむ、一般知識を得るなど、その本や雑誌を読む理由はいろいろ考えられます。ただし、冒頭でマンガ雑誌は経費にならない会社もあると伝えたとおり、どう考えても認められない本や雑誌はあるので、そこは「常識の範囲内」を意識したいところです。

2-8.借上げ社宅にして家も経費に

手っ取り早く大きな効果をあげられる節税方法が「借上げ社宅」です。会社がアパートやマンションを借り上げて社員をそこに住まわせることで、社員は家賃の一部のみを負担し、大部分を会社が肩代わりする形です。会社が肩代わりした部分は税金や社会保険料の対象ではなくなります。 同じことを、社長の自宅に対しても行えます。社長の自宅も社宅にし、最大で家賃の約50%を合法的に会社の経費にすることができるのです。

自宅マンションの家賃が月30万円だとしたら、社宅にし節税しなければ年間360万円を役員報酬から支払うことになります。そのうち半分を経費にすることができれば、負担額は180万円となり、家賃をかなり抑えることができます。

借上げ社宅にするうえで最も重要な点は、大家と会社で賃貸借契約を結ぶことです。そして、毎月の家賃の全額を会社から直接大家に支払い、そこに住む社長は、家賃の負担金(最大約50%)を会社に支払うのです。手続きはこれだけです。もう社長の自宅は税法上は社宅になります。

2-9.個人を赤字にし税金を取り戻すのは可能か?

10年ほど前、ある本が話題になりました。『無税入門』(飛鳥新社)です。30数年間、税金を払っていないという著者「只野範男」氏が、自身の実践してきた税金を払わない方法を説いたものです。

具体的な方法は、事業所得で意図的に損失を計上することで、無リスクで税金を払わない方法です。只野氏は趣味でイラストを描いていることから、開業届を出して事業化し、意図的に収入よりも経費が多い状態を作り出し、その損失を給与所得と相殺していました。本によると37年間で約900万円、年間約24万円節税したといいます。

理論上は充分可能な行為であり、同じ形が不動産投資の世界では「サラリーマン大家の節税術」として一般的です。賃貸用マンションやアパートから得る賃料収入は不動産所得になり、経費や建物の減価償却が損金になるので、物件取得後の数年間は不動産所得をマイナスにすることができます。この損失を給与所得と損益通算し、合法的に所得税や住民税の還付を受けるのです。なお、この方法は個人が住宅ローンを支払う場合のみ有効です。詳しくは別項目にて。 

2-10.税法は極めて常識的で漏れ・抜けは存在しない

このような節税方法は理論的には可能ですが、実践は本当にできるのでしょうか。橘玲氏は「『無税生活』が実現するかどうかのポイントは、損失しか生まない経済行為(というか趣味)が”事業”と認められるかどうかにあります。これが雑所得と見なされれば、給与所得とは損益通算できず、なんの節税にもならないからです」と語っています。

橘氏によると、事業所得とは「社会通念上、事業と認められるもの」でなければならず、その判断基準は「いわゆる本業であって、その利益から生活費を求めるものであるか否か」に置かれています。その考えに則ると、税務当局の見解は「趣味はもちろん、副業でも事業所得とは認めない」ことになります。

なお、「個人事業を立ち上げて赤字にし本業の税金の還付を受ける」この方法は、只野氏が公開し多くの人に広まったことで、税務当局は事業所得の認定をさらに厳しく行うようになりました。赤字にすることだけが目的の開業届は、受理されなくなってきています。税務は極めて常識的にできており、無理は通らず法律の抜け穴のようなものは存在しません。仮にあってもすぐに税法が改正され、埋まるだけです。その点については気をつけていただきたいと思います。

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