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ヘッジファンドが低リスクで不況に強い旨お伝えしました。
ただし、ヘッジファンドならばどれでもよいわけではありません。よい成績を出せずに閉鎖に追い込まれているヘッジファンドもあります。
ヘッジファンドに投資するならば、好成績を残している優良なものを選ばなければなりません。
投資するヘッジファンドを 選ぶための基準をお伝えします。
「なぜヘッジファンドがよいのか?」について詳しく説明します。それと同時に、日本を取り巻く投資の環境についても見てみたいと思います。
ファンドがリスクに対して効率的なリターンを得ているかを表す指標に、シャープレシオがあります。ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・シャープが考案したことから名づけられたもので、この数値が大きいほど投資が効率的であることを意味し、多くの投信評価会社がシャープレシオを重視した評価手法をとっています。
リスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターン(リスクゼロでもえられるリターンを上回った超過収益)を計るもので、この数値が高いほどリスクを取ったことによって得られた超過リターンが高いこと(効率よく収益が得られたこと)を意味します。異なる投資対象を比較する際に、同じリスクならどちらのリターンが高いかを考えるときに役立つので、投資信託の運用実績の評価等に利用されています。
例えば、リターンが12%の投資信託Aと14%のBがあったときに、ポートフォリオリスクがそれぞれ5%と10%、無リスク資産のリターンが2%だったとします。
投資信託Aのシャープ・レシオ=(12-2)÷5=2.0
同Bのシャープ・レシオ=(14-2)÷10=1.2
となることから、Aの方が効率的な運用ができていると考えられます。
日本の売れ筋投資信託ランキングをもとに、1位から3位までのシャープレシオを見てみます。
シャープレシオが大きい、すなわち取ったリスクに対して効率的にリターンをあげている、低いリスクで高いリターンを出しているのは、3位の東京海上アセットマネジメントとなり、1位と2位はハイリスク・ローリターンと言えます。
なお、東京海上アセットマネジメントのファンドの年率リターンは1年で3%、3年で4.5%で、5年間の実績はまだありません。
投資信託の評価には10年の観察が必要です。どんなに成績がよくても10年未満ならば、まぐれの可能性もあるからです。
見るべきは長期のシャープレシオ。その観点でチェックすると、日本で販売されている投資信託で10年以上の実績がありシャープレシオが2以上のファンドは1つしかなく、それも非常にリターンが低くなっています。
海外に目を向けると、Hedge Fund Manager of the Yearを2年連続で受賞しているような、シャープレシオが約2.0、17年で2.8倍の実績をあげているファンドもあります。
そういったファンドに日本にいながらも投資することができるようになりましたが、日本の金融業者を通じての購入となると手数料がかさみ、元々の運用成績は優秀でも、投資家に利益がほとんど生まれないことがほとんどです。
この課題を解決する方法として、直接海外の優良ファンドに投資をするという方法が出てきています。
ノーベル経済学者のジェームズ・トービンが説くように、分散投資理論のセオリーに忠実に従うのであれば、期間投資家のように株や債券に投資をしなければならないという縛りのない個人投資家にとっての理論上の「最適ポートフォリオ」は、たとえば「現金2:ヘッジファンド8」のような配分になります。
まずはリスクを取る量を決めて、リスクを取ると決めた部分については、リスク・リターン実績表で市場のリスク・リターンが優れているアセットクラスであるヘッジファンドに投資し、残りは無リスク資産である現金として置いておくのが、最適なポートフォリオとなります。
リスクを減らしたい場合は、何か新しいアセットクラスをあれこれ追加するのではなく、単純にポートフォリオにおける現金比率を高めるだけで良いのです。
資金の8割以上をヘッジファンドに投資するとしても、ヘッジファンドAに40%、ヘッジファンドBに40%というように分散することも可能です。ヘッジファンドAとヘッジファンドBに相関性が低ければ、より低リスク高リターンのポートフォリオを構築することができます。
全米最大の資産残高376億ドルを誇るハーバード大学基金(過去20年間の運用実績は年率11.8% 2015年次決算資料)等の洗練された機関投資家や、海外の超富裕層がヘッジファンドによる運用を行っています。
現在の資本主義社会では、一番知性の高いところに一番マネーが集まり、一番マネーが集まるところに一番知性が集まってきます。したがって、ハーバード大学基金や海外超富裕層が実践している投資法こそが、一番成功する確率の高いものであると言えるのです。実際に、彼らは資産運用で結果を出しています。
一番知性の高い人たちが選んだ運用方法、それがヘッジファンドなのです。
ヘッジファンドは1949年のA.W.ジョーンズが始めた空売り手法を使って市場リスクをヘッジしようと創った私募ファンドが語源とされます。
その原型としてヨーロッパの大金持ちが財産を子孫に残すために、安全な資産運用をする専門家にこれを任せたのがスタートです。
ヨーロッパでは戦争が多く、戦争が起こるたびに激しいインフレになり、現金のまま持っていると資産は目減りしてしまいました。
そのためヨーロッパの大金持ちは、増やさなくていい、減らないようにリスクをヘッジ(回避)してくれと金融の専門家にお金を預けました。
ヘッジファンドは元々、お金を増やそうとするのではなく、預かったお金を減らさないようにするもので、減らさないためにさまざまな投資の手法を編み出していきました。
その手法を応用すると、預かったお金を増やすことができる、というヘッジファンドが現れ、リスクをヘッジするのではなく積極的にリスクを取る、ハイリスク・ハイリターンな運用をするヘッジファンドも出てきました。
1969年にジョージ・ソロスが運用をスタートし、12年間で元本を45倍にしたことで、ヘッジファンドの存在感は高まっていきました。
1990年代になると、ヘッジファンドの創業者が増え、効率のよい運用のためのインフラも整っていきました。2000年代になると株式市場が低迷したこともあり、絶対リターンを謳うヘッジファンドに投資を増やす機関投資家が増えていきました。
そうして規模が大きくなり、扱う金額も大きくなることで、スケールメリットを活かした運用が可能になり、ますますヘッジファンドの規模は大きくなっていったのです。
ヘッジファンドは、日本ではまだまだ「ハイリスク・ハイリターンなもの」「よくわからないもの」といったイメージを持たれがちですが、金融庁の2014年の発表によると、日本の投資家の投資残高は2.2兆円、年間投資額2794億円に達するなど、日本でのヘッジファンド投資は増えてきています。
グローバルではその伸びはもっと大きく、HFR社の発表によると、263兆円に達しています。
従来、ヘッジファンドは超富裕層の資金を預かる運用会社でしたが、現代では、年金等の機関投資家の資金を主に預かるようになっています。
今後、日本におけるヘッジファンド投資は普及が進んでいくと予想されています。
実際に存在するヘッジファンドの運用成績の例をお伝えしていきます(具体名はヘッジファンドや投資家等に配慮し控えさせていただきます)。
世界で最も著名なヘッジファンドの1つで、大手機関投資家がこぞって投資している、アルゴリズムが売りの英国系ヘッジファンドの代表で、運用資金は約300億ドルです。
1997年の設定依頼、年率収益率は14.14%。金融危機のあった2008年の収益率は20.99%と、様々な金融危機に見舞われても、年々着実に上昇しています。約18年間の運用で、投資元本が10倍以上になっています。500人近い研究者が世界中のデータを収集、分析して取引することで、この高収益を実現しています。
アルゴリズムを駆使して株・債券・為替・原油など値動きするものすべてに投資し、先物を用いてレバレッジを利かせた運用をしています。このような戦略を取るヘッジファンドは「CTA」と呼ばれます。
このヘッジファンドがこのように高い運用利回りを実現している理由の1つに、「最先端のポートフォリオ理論に基づいて運用しているから」が挙げられます。ポートフォリオ理論は図のように進化してきました(説明のため単純化しています)。
1990年代まで、①と②が最良と信じられていました。その後、世界経済がグローバル化する中で③が最良とされるようになり、その後④に進化しました。従来は投資対象の価格が上がる時にしか利益を出せなかったのが、空売りを使うことで下がるときも利益を出せるようになりました。
そして世界的な金融危機に対応できるよう、アセットクラスの流動性を計算に入れるようになったのが⑤です。個人投資家や金融リテラシーの低い金融機関の担当者は今でも②や③を勉強しているのに対し、世界の運用の最先端はこのようになっています。
2001年の設立後、過去10年以上の実績の中で、マイナスに終わった年が2回しかありません。具体的な運用成績は以下となっています。
2005年 +3.5%
2006年 +8.8%
2007年 +7.5%
2008年 +11.9%
2009年 +2.2%
2010年 +10.9%
2011年 -3.7%
2012年 +4.7%
2013年 +14.0%
2014年 +7.6%
2015年 -0.9%
2016年 +15.9%(12月現在)
安定性が高いにもかかわらず、世界株に投資していた場合よりも高いリターンを出す、まさに低リスク・高リターンのヘッジファンドです。
1つの運用戦略に固執せず、投資環境に応じて戦略を変更しています。2008年はCTAを中心としたトレンドフォロー戦略、英国のEU離脱やトランプショックなどの政治的リスクが顕在化した2016年はプライベートエクイティ部門やボラティリティ戦略、ハイイールド戦略等により高いリターンを得ています。今後さらに伸びそうなヘッジファンドです。
日本の富裕層に人気のこのヘッジファンドは年平均リターン5.82%(コスト控除後、19年間)をコツコツ稼ぎ、投資家の資金を19年で約3倍にし、Hedge Fund Manager of the Year」を2年連続(2015年・2016年)受賞しています。
リスクを抑えているその方法は、あらゆるヘッジファンド戦略に分散投資することです。年次でマイナスになったことはわずか2回、一発勝負型の戦略を避け、どこかが損を出しても相関する別のものでうまくカバーするポートフォリオを組むことで、「低リスク・ミドルリターン」を実現しました。
特筆すべきはシャープレシオで、10年以上の実績の中では驚異とも言える1.89で、世界株インデックスの10年間のシャープレシオが0.3程度で、日本で販売されている投資信託で10年以上のもののなかに、シャープレシオが1を超えるものもほとんどないことを考えても、非常に優秀な数字です。
・リーマン・ショックの年に50%リターンの「下げ相場に特に強い」ヘッジファンド
2003年の設定以来、年率12.98%(2016年12月現在)のこのヘッジファンドは、英国のEU離脱でほかのファンドが不調の2016年の年次リターンは19.59%、リーマン・ショック時は59.9%という高リターンを実現、ベスト・ヘッジファンド・オブ・ザ・イヤーという世界的に著名な賞も受賞しました。
トレンドフォロー戦略を採用しており、上げ相場、下げ相場というようにトレンドが明確に出れば、リターンが出ます。リーマン・ショック時も下げとはきりしたトレンドが出たことでリターンにつながりました。
マイナスの年もあるものの、長期的には年率平均12%以上の実績があるため、長期投資を施行する投資家向けのヘッジファンどです。
世界中の金利、債券先物、通貨先物、株式先物、エネルギーなど、600以上の投資対象に分散投資するため、株式との相関が低くなっています。そのため株式投資が好きな富裕層がポートフォリオの一部に持つヘッジファンドとして人気があります。