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不動産投資というと、夢のあるものに思えます。「毎月の安定収入で生活も安泰、セミリタイヤ、もしくは本格リタイアも可能、悠々自適」
いきなり夢を壊すようなことを言うと、「毎月の収入は安定せず赤字で生活に悪影響、リタイヤどころか生活費もつぎ込み、家も売り、ついには破産」という人もいるのが現状です。
不動産投資に関する「真実」をまずは知っていただきたいと思います。
不動産投資で失敗する人には特徴があります。それは「不動産投資“でも”やってみるか」と、どこかしら不動産投資を侮っていることです。
「ローンを組んでアパートやマンションを買ったならば、入居者から毎月の安定した定期収入が入ってくるのを待っているだけ」
といったように考えている人が多いのですが、不動産投資はそんなに甘いものではありません。
不動産投資は、賃貸経営そのものです。動く金額が大きく、また長期間にわたる、非常に難易度の高い経営です。
とても「不動産投資“でも”やってみるか」で儲かるようなものではありません。真剣に、本業のつもりで取り組まなければ、成功はおぼつかないのです。
不動産投資は毎月の家賃のような「収入」にばかり注目が集まり、アパート・マンション建設の業者などは「毎月の利益はこのくらいです」といったキラキラした数字を見せてきますが、その大きな数字は、あくまでも満室経営が1年間続いたら、というように、もっともよい経営状態にできていればの話であることがほとんどです。
その数字を「表面利回り」と言います。年間賃料を購入価額で割った指標で、1億円で購入した物件の年間の賃料合計が800万円であれば、表面利回りは8%となります。
ここから、不動産投資にかかる費用を見ていきましょう。
金井義家『相続対策で消える富裕層、生き残る富裕層』(日本法令)中の図を元に、編集部が作成
不動産賃貸経営では、年数を経るごとに、収入は減っても維持管理の費用は上がる傾向にあります。
建物は古くなり、当然修理等に費用が発生します。
それでいて周りに新築のアパート、マンションが建つでしょうから、同じ値段ならば当然入居者は新しいほうを選びますから、家賃を下げるなりしなければ入居者はいなくなってしまいます。
収入は減り、費用はかさんでいく。新築のときはよいものの、10年後、20年後はキャッシュフローがどんどん厳しくなります。その間も銀行への返済は変わらず発生し続けます。
賃貸経営がいかに、経費・税金などが掛かるかは購入前に、イメージを掴んでいたほうがよいでしょう。
なお0、この話は「満室かそれに準ずる稼働具合のアパート・マンションの話」で考えましたが、「そもそも埋まらない可能性」もしっかり考えなければなりません。「空室率」もしっかり考え、対策を打つ必要があるのです。
不動産の空室率は、現在都心部地方に関係なくほとんどの地域で上昇しています。不動産投資に参入する人がたくさんいるからです。
野村総合研究所の発表によると、年々総住宅数は増え、しかし人口は減少しているので空家数も空き家率も上昇すると予測されています。
業者が言うような表面利回りは、あくまでも継続的に満室の場合を想定しています。残念ながら多くの不動産においては、もはや夢物語です。それを証明するデータがあります。
満室経営のためには、継続して入居し続けてもらうことが欠かせませんが、一人暮らしでも、ファミリーでも、入居から4年(2回目の更新)で約8割が退去してしまうことが、データからわかっています。
玉川陽介『不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社)の内容をもとに、編集部が作成
多くの人が、更新料の発生するタイミングで退去するのです。一人暮らしは結婚など環境が変わり、ファミリーも子どもが生まれる、大きくなるなどで出てしまいます。
玉川陽介『不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社)の内容をもとに、編集部が作成
入居者の退去後の原状回復には工事が必要なことがほとんどで、平均すると単身者で家賃1.7カ月、世帯で2.5カ月分の費用が発生しています。
さらに、一度退去後に次の入居者が決まるまで、単身者用で平均46日(1.5カ月)、ファミリー用で56日(1.9カ月)を要しています。ただしこれはよほど人の入れ替わりがある時期であれば早いですが、特に入れ替わりが頻繁でない時期の場合、もっとかかることもよくあります。数カ月空いてしまうことも珍しくありません。
2年経営すれば8割は出ていき、次の人が決まるまで約2カ月家賃収入なし、工事で2~3カ月分の費用が発生する、不動産投資はそのように、極めてシビアな世界です。
このほかに固定資産税等の税金も発生し、キャッシュフローが行き詰まる例が起きています。
さらに、1つしか家賃の収入源がない区分所有(マンションの1室のみ所有)の場合、この数字はかなりシビアです。極めてうまみの少ない投資と言えます。
実際に、銀行も区分所有をあまり評価せず、「区分所有の借り入れがある=ほかの融資は不可」と判断することもよくあります。
不動産投資のシビアな現実を見てきました。それらを踏まえて、勝てる不動産とは何かをまとめます。
・確実に入居者のいる、空室率をできるだけ低くできる物件に投資する
・低金利の融資を引き出すなどして、可能な限り不動産の維持にかかる費用を抑え、資金繰りがショートしないようにする
・物件を複数持ってリスク分散し、常に一定数の収入を得られるようにする
といったものになります。それができる物件でない限り、むやみに手を出す必要はありません。
不動産投資を行う目的は「収益を上げる」であり、「不動産投資を行うこと」を目的にしないようにしましょう。
さらに言えば、「不動産投資でどのくらい収益をあげたいのか」をしっかり考えることが大切です。それを考えられれば自分の中の「不動産投資の軸」のようなものができ、投資を行っていくうえで、新しい物件に出会っても投資するかどうかの判断基準を設けることが可能になります。