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節税のうえで非常に効果の高いのが「償却」です。この言葉を辞書で引くと①借金などをすっかり返すこと。償還。「借用金を償却する」②「減価償却」の略。「償却資産」(大辞泉)とあります。この記事では主に「減価償却」の意味で使います。
減価償却を活用して所得税を節税する、それは多くの富裕層・高額所得者が行っていることです。
クレディ・スイスの「グローバルウェルスレポート2016」によると、日本の100万ドル以上の資産を持つ富裕層人口は280万人6000人になっていて、その数はアメリカに次いで2位となります。
それだけ多くいる日本の富裕層・高額所得者ですが、その資産の内訳はかなり偏っています。海外の富裕層は資産の多くを金融資産として保有しているのに比べると、日本の富裕層・高額所得者の資産に占める不動産の割合はかなり多くなるのです。
「株券は会社がつぶれたら紙切れになってしまうけれど、不動産は実物資産だから安全」
投資の嫌いな日本人には、そのように考える人が多くいるのもありますが、多くの人が持っているからこそ、不動産を利用した様々な節税方法があります。
不動産は、所有するだけで固定資産税が発生し、利用していない土地や空き地でも同じで、またこの税は経費になりません。
利用していない土地には賃貸マンションを建設し、家賃収入を生み出す「事業」として土地を利用したときは、この固定資産税は経費になります。
また、賃貸マンションを建設するために銀行などから借入を行った場合、利息も経費となります。
さらに、賃貸マンションの建物部分は、減価償却費としてこれも経費にすることができます。
現在は「不動産バブル」と言われています。東京オリンピックを前に不動産の価格は値上がりを続け、「価格があんなに高かったら、マンション経営を黒字化するだけでも大変」と語る不動産投資のプロも多い状況です。
実は、富裕層や高額所得者にとって、不動産投資の黒字化は、一切の目的ではないとしたら……。
賃貸マンションで家賃収入を得るなど、不動産の収入は不動産所得として、所得税の課税対象となります。
その一方で、不動産所得が赤字になれば、事業所得や給与所得などと損益通算をすることも可能です。
その結果、所得税を節税することもできるのです。
もっと戦略的に、赤字にすることをしている富裕層・高額所得者もいます。
たとえば、充分すぎるくらいのキャッシュが手元にあり、このまま持ち続けていても、将来税金でごっそり持っていかれる可能性が高いというような場合、そのキャッシュを多めに組み込んで20年といった長期の住宅ローンなどを組んで、都心部のマンションを購入するのです。
そのマンションはすぐに収益が上がらなくても構いません。むしろ一番の目的はローンの支払いなど、キャッシュを減らしていくことなので、トータルで見ると赤字でもよい。
そしてローンを払い終えた20年後から収益化を目指していく。ローンは払い終えているので、修繕等の費用はかかるにせよ、不動産の維持管理にかかる費用はだいぶ少なくなっている。そこから借り手がついて家賃収入が入れば、あとは収益が上がっていくだけという形です。
不動産はとにかく立地が大切なので、建物が古くなっても立地さえよければ充分収益化が可能です。ローンを払い終えて、収益化のためのハードルはだいぶ低くなっています。その間に何かトラブルや急ぎお金が必要な事態が発生すれば、その不動産は売れば現金化も可能です。
なお、これまで説明してきた不動産は「マイホーム」ではなく「投資用不動産」を指します。マイホームだからこその利点もありますが、トータルで見れば投資用不動産のほうが圧倒的に有利です。
どのあたりが有利なのでしょうか。投資用不動産として所有するアパートやマンションを売却して利益が出た場合、その利益は「土地・建物の譲渡所得」として申告分離課税の対象となります。計算式は以下です。
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
税額=課税譲渡所得×税率
税率は5年超(長期保有)であれば約20%、それ以下であれば39%となります。
同じ条件でマイホームの場合、3000万円の特別控除の特例を受けることができます。
譲渡所得に関しては、マイホームのほうが税金は軽くなります。
なお、もし不動産の売却で損が出た場合、同じ土地・建物の譲渡所得の中で通算し、それでもマイナスの場合、投資用不動産は事業所得や給与所得などのほかの所得と通算することはできません。一方、マイホームは一定の条件を満たせば、ほかの所得との損益通算、3年間の損失繰り越しが認められています。
マイホームは住宅ローンの金利も安かったりと、さまざまなメリットがありますが、節税に関しては、投資用の扱いにしておいたほうが、それらのマイホームのメリットを補ってあまりある恩恵を受けられます(マイホームの減税に関しては別項目にて説明します)。
一番大きい部分が、この項目のコア、「減価償却」です。減価償却とは、建物や設備が時間の経過とともに老朽化することを反映して、それを毎年かかった費用として認めてくれるものです。
計算をわかりやすくするために簡単な設定にしますと、100万円の、耐用年数10年のものを買った場合、耐用年数で割った10万円ずつを10年費用として計上できることになります。
1000万円で購入した不動産が木造・合成樹脂造で事務所用の場合、法定耐用年数は24年なので、1円になるまで999万円分を償却するために999万円を24で割り、1年当たり約41.6万円ほど経費が認められることになります。
不動産の賃貸収入から税金・管理費・借入金利を引いた額がプラスになるようにし、そこから減価償却を引くとマイナスになるよう調整すると、毎月の資金は残しながらも帳簿上の損益をマイナスにすることができます。キャッシュフローをプラスに保ちながら課税所得を減らす、収入も手取りも増やして税金は減らすことが可能になるのです。
不動産投資の方法も、アパート・マンション経営やマンションの1室貸出だけにとどまりません。ほかにも様々な方法があります。
不動産は昨今のバブルもあり、都心部を中心に高騰していることから、あえて赤字にする戦略だとしても、良質な不動産は入手が困難となっています。
アパート・マンション経営ほど費用がかからず行える不動産投資として、コインランドリーが注目を集めています。
初期費用は場所や機械の価格、レンタルするか不動産を購入するかにもよりますが、1000万~2000万円程度です。
1000万~2000万円で購入可能なアパート・マンションはかなり限られますが、コインランドリーならば投資額として充分です。
毎日多くの人が利用する場ゆえ、掃除、集金、洗濯機のメンテナンスなど、行うべきことは多いので、フランチャイズに加入し、すべてを代行してもらうなどが手間なく行える形にするのが望ましいでしょう。
コインランドリーは、アパート・マンション経営とは大きく形態が異なります。毎月決まった金額が入金されるわけではありませんが、利用が多ければ入金額も増えます(雨の日が利用者の数は増加する傾向にあります)。アパート・マンション経営がストックビジネスならば、コインランドリー経営は不動産のフロービジネスと言えるものです。
コインランドリーが雨の日に儲かる投資なら、太陽光発電は晴れの日に儲かる投資です。
主に自宅が一軒家の場合にかなり限定され、また大きく儲かるものではありませんが、注目を集めている方法です。
自宅で使用する電気を電力会社から購入する必要がなくなり、かつ余った電力を電力会社に買い取ってもらえるのがメリットです。
「どれだけ儲けた」よりも「家に導入していなかったなら、これだけ電気代がかかっていたはずが、かからなかった」で投資効率を考えていきます。
ソーラーパネルの設置にかかる費用はどんどん安くなり、参入障壁は下がっています。また、どんなに参入が増えても客の奪い合いが起こらないのはメリットで、天気がよいほど発電量は増えます。
太陽光発電は完全に機械を相手に行うビジネスゆえ、機械のトラブル等は発生するものの、アパート・マンションなどの人間を相手にしたビジネスに比べると、トラブルはだいぶ少なく済みます。メンテナンスなどは、業者にすべて一任してしまえばOKです。
コインランドリーと同様、初期費用は機械の設置などで2000万円程度かかりますが、金融機関の融資を受けられる可能性は極めて低いものです。「ソーラーパネルを設置するのでお金を借りたい」で積極的に貸す金融機関はほとんどありません。
ソーラーパネルの普及を政府が後押ししたときは積極的な税金面の優遇なども行われていたのに対し、だいぶ普及した今となっては、むしろ法律がどのように変わるか、そこに注意を払いたいところですが、どのような形になるにせよ毎年の経費を増やす減価償却には大きな効果があります。