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富裕層の節税として、実は結構使えるのが「家族内で回す」ことです。知らない人に回してもせいぜい感謝されるくらい、税金として払っても何もバックはありませんが、家族に支払えば経費になり、家族の誰かのところにお金が残ります。
活用しない手はありません。
世界を見ると、富裕層は家族や親族単位で資産運用を考えています。たとえば、投資に積極的なシンガポールの富裕層は、ファミリートラストを使って家族単位で資産の運用をするといったことが当たり前です。
アジアでビジネスをしているのは華僑が多く、国は信用できず家族が最も頼れる存在だからということに加え、家族の資産を集めれば運用できる金額が大きくなり、投資の選択肢も増えます。
また、まったく知らない人たちのお金を集めるよりもやりやすさが何倍もアップし、非常に効率的な方法と言えます。
家族でうまく共有、分配をしながら税金を減らし、富を増やしていく方法をお伝えします。
中小企業の社長は、報酬を高めに設定することがとても大事です。
社長や役員の報酬は、年度の途中で増額することができません。会社が思っていたより儲かったので報酬を上げようとしても、そのようなことは次の年度までできないのです。
儲かっても経営者には還元されず、すべて利益と計上され税金の対象となり40%近くが持っていかれる、そんなことがよくあります。
税金にされるならば、最初から社長の報酬をかなり高くしておくことが大事です。会社が一番儲かっていたときの報酬や、今後の計画を考え「このくらい稼ぎたい」という金額にするなど考え方はいくつもあります。
社長の報酬は期中で増額することはできませんが、一定の手続きを踏めば減額することは可能です。「思いのほか事業が伸びず、まずは社長報酬から削ることにして、支払いを止めた」とするのは常識的な考えです。
一度減額するとその期中はその金額で、ということになりますが、まったく変更が利かない「アップ」よりも、1回でも変更可能な「ダウン」ならば、あとから対応できるほうを残しておくのは経営判断として正しいと言えるでしょう。
社長に限らず、家族を役員にしていたならば、役員報酬も同様にします。会社の業績が好調で、当初予定していた金額をしっかり払うことができたなら、高めに設定した報酬をそれぞれの家族が受け取ることができるのです。
社長の報酬を高くすると、それに伴い所得税や住民税も上がってしまいます。ただし、普通に考えればです。
社長の報酬を上げても、所得税や住民税を増やさない方法として有効活用できるのが「小規模企業共済」です。
経営者や個人事業主が毎月の決まった金額を積み立てておき、廃業したり退職した際、一定の年齢に達したときに、通常の預金よりも有利な利率で受け取れる制度で、退職金がない経営者や個人事業主のための退職金積み立て制度と考えるとわかりやすいでしょう。
積立は月に1000円から7万円まで可能です。そして最大のメリットが、掛け金の全額を所得から控除できることです。この共済に入ることにより、経営者や役員の所得税を安くすることができます。
社長や役員の報酬を増額しても、増える分はまず小規模企業共済に吸収されることにすればよいのです。
また、「共済金を受け取った」とは税制上、退職金か公的年金と同じ扱いとなるため、社長だけでなく役員も全員加入すれば、それぞれ所得税が安くなります。
先述の通り、65歳になる、事業をやめるなどしなければ受け取ることができないのがネックですが、任意解約することもできます(その際は給付額が若干少なくなります)。
代表者、役員も会社からボーナスを受け取ることができますが、事前に支給時期と支給金額を決めておく必要があります。
「事前確定届出給与」と言い、定時株主総会か事業年度開始から4カ月以内の日のどちらか早い日までに、税務署に支給時期と金額を届け出るのです。
「今年は思いのほか利益が出たので税金対策のためにボーナスを厚くする」といったことは代表者・役員には適用できません。
そのため、期末の利益処分方法としては使えませんが、事業年度開始から4カ月前(もしくは定時株主総会前)に、「今年は儲かりそう」という雰囲気があれば、予想される儲けに合わせてボーナスの支給額を決めておき、その際も、金額は少なめではなく多めにします。
もし予想通りにいかず、当初決めた額のボーナス支給が困難となった場合は、変更届けを提出すれば減額や不支給にすることも可能です。
なお、減額の変更届けが認められるためには、以下のような条件下にある必要があります。
・会社の業績が悪化し、当初取り決めたボーナスの支給が適切でないと考えられる場合
・金融機関に対する借入の条件として、ボーナスの減額が必要な場合
・業績の悪化で取引先などに迷惑をかける恐れがあり、ボーナスを減額する必要がある場合
「当初は経営者にもこのくらいボーナスを支給できると見込んでいたが、そこまでの利益は出そうにないので、適切な額にボーナスを下げる、もしくは支給を取りやめる」
そこに何もおかしなことはありません。
なお、「最初に取り決めたボーナスの額は常識的か」は問われるので、「ボーナスの額は過去3年の業績を元に取り決めた」というように、根拠を提示できるようにしておきましょう。
ボーナスを厚くすることのメリットとして、社会保険料が抑えられることがあります。
当然ボーナスにも社会保険料はかかるものの、掛け金には上限があり、健康保険はボーナスの年間540万円までなので、それ以上の額のボーナスをもらっている人の540万円を超える部分に健康保険料は発生しません。
厚生年金は月150万円までなので、1回で150万円以上のボーナスをもらっている人は、150万円を超える部分に厚生年金が発生しません。
極端な例ですが、年収1000万円の人で毎月の支払いは25万円(年間300万円)、残りの700万円をボーナスとすると、700万円のうちに健康保険料がかかるのは540万円で、残りの160万円にはかかりません。
ボーナスなしで、毎月均等の額を受け取っていた場合、約100万円の健康保険料が発生しますが、この払い方であれば86万円になります。
厚生年金の保険料は、ボーナス700万円のうち150万円のみなので、550万円に関しては発生しません。
毎月均等に報酬をもらっていれば保険料は約170万円ですが、この払い方ならば約77万円となります。
ボーナスの支払い部分を大きくすると、社会保険料を大きく削減できます。
所得税ばかりに気を取られがちですが、社会保険料は意外と馬鹿にできない額になるため、削れるならば削りたいものです。
なお、厚生年金の支払いが少ないと、将来にもらえる年金の額も少なくなること。この点には注意が必要です。
中小企業には、家族経営のところも多く、家族が役員になっているほか、役員ではなくても家族が会社の仕事を手伝っていることはよくあります。
その点を活かして、うまく家族に給与を支払う方法もあります。
ただ収入を分散するためだけに家族に給与を支払っていたならば、税務署は指摘することになります。ただし、本当に仕事をしていれば給与の支払いを税務署が否認することは困難です。
仕事の内容が日報に残されており、働いていた記録があれば、給与が支払われるのは自然です。仕事を「同じ業務を人を雇って行ったならばどのくらい支払う必要があるか」で考えれば、「高すぎる」と言われない、それなりの額になっても決しておかしくはありません。
ある家族経営の会社は、儲かっているときに決算期の社員へのボーナスで利益を相殺していました。社員は全員社長の家族で、それをしっかり行うことで会社としての所得をゼロにしたのです。
決算期に出すボーナス、決算賞与は、大変役に立つ節税策です。
決算期が近づき、思いのほか利益が出てしまっているとき、決算賞与を振る舞って利益を小さくする。
そのまま持っていても税金として納めるだけのお金も、社員に振る舞えば社員は喜び、経営者は感謝され、会社の業績が好調、経営が安泰であることも感じてもらえます。
決算賞与は社長や役員には出せない点がネックですが、一般社員の家族に支払えれば、家族の中で循環することになります。
決算賞与を払う上でネックになるのが、資金繰りの問題です。決算期は何かと支払いが必要で、利益を見ると支払いたいが大量のキャッシュを用意するのは厳しいという場合は、決算賞与の時期を1カ月ずらすことも可能です。必ずしもそのときに現金で支払う必要はなく、未払い賞与として処理することもできるのです。
ただし、未払い賞与を経費として計上する場合、次の3点を満たす必要があります。
1.決算期日までに、支給額を支給される各人に通知していること
2.決算期日の翌日から1カ月以内に支払っていること
3.通知をした事業年度に経費処理をしていること
要は、社員には決算賞与の支払いがあって、いくら支払うと決算期までに通知し、1カ月以内に本当に支払うということです。
頻繁にあるケースでなく、また税務調査で否認されるリスクも含むものの、手っ取り早い所得税節税策が「非常勤役員への退職金支払い」です。
非常勤役員に、会社内での明確な役割があることは少ない(あれば常勤になっているでしょう)。そのため、そのような人を退職させるのです。
非常勤役員を辞めさせることは、社長や常勤の役員が退職するよりもはるかに負担が少なく、それでいてそれなりの報酬を受け取っている役員であれば、退職金は数千万円出すことが可能で、かなりの節税になります。
非常勤の役員は、退職せずともそれなりの支払いを行うことで給与の分散となり、常日頃の節税策としても機能します。家族ならばなおのこと効果が高くなります。
そこで、家族や親族などを日頃自社の非常勤役員にしておき、もし節税策でその人を退職させたならば、別の家族や親族を非常勤役員にしておく形が節税のうえで効果的です。
ただし、いくら非常勤役員だからといって、まったく何もしていないようでは税務署に否認されますから何かしら助言をしたなど、働いていたことを示す記録を残しておくのがよいでしょう。
加えて、退職後は本当に退職したかどうかも説明できる必要があります。報酬が支払われていたときは何かしら実務を行っていた記録があり、退職したあとはそのような記録が一切なくなっているのが望ましいです。
非常勤役員の退職金をどのくらい支払えばよいのでしょうか?
役員退職金=退職時の報酬月額×役員としての勤続年数×功績倍率
これが目安ですが、あまり参考にならないものとされます。
そもそも「非常勤役員とは何のためにいるのか?」というところから、「非常勤といっても、どのくらい出社するのが適切なのか?」などをしっかり考え、どのくらいの報酬が支払われるべきかなどを決めたうえで、役員退職金を割り出す必要があります。
報酬額は適切なのか、何をもってその金額が支払われてきたのかなど、根拠が求められます。
「この金額の根拠はこうで、このような理由から金額を決定しました」と、きちんと説明できなければならないのです。
結局のところ、目安が参考にならない以上、税務署も判断の根拠としてもっとも重視するのは「同業他社と比べておかしくないか」なので、それに合わせるのが無難であり、また「あえてそれには合わせていない」とするのであれば、その理由をしっかり説明できるようにしておく必要があります。
繰り返しになりますが、税務は常識や社会通念のうえに成り立っています。「常識的に考えてOK」であれば認められるので、その点を大事にしましょう。