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富裕層のための相続税節税
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富裕層のための相続税節税術

6.間違った相続税対策に注意!

このページでは様々な相続税対策を説明しています。

一方でお伝えしたいのが「その相続税対策は、本当に必要ですか?」ということです。

相続税対策に力を入れた結果、元々持っていた財産を手放すことになった富裕層の方がいます。

相続税を少々払えば終わりで済んだのを、節税に奔走した結果、相続税以上の出費がかさんだ人もいます。

「節税のための節税」をすることのないよう、注意が必要です。

6-1.「役立つご提案」があなたを没落させるかも

現在、「相続税ビジネス」が数多く出回っています。
「相続税の対象が増えた、相続税率もアップしました。対策しないなんて、危ないでしょ」と金融機関や不動産業者、保険会社などが言葉巧みに営業をかけているのです。
彼ら彼女らにしてみれば、相続税の課税対象が増えたことは、絶好のビジネスチャンスなのです。

多いのが、相続について誰に相談したかわからず、付き合いのある金融機関に相談し、金融機関が勧めるままの手続きをしたり、販売している金融商品を勧められるままに購入してしまうケースです。
金融機関は相談者の財産情報をしっかり把握しているため、相談者の財産額に合った「実際に行うことが可能」な提案をしてきます。
「私のことをよくわかっている、私のことを考えた提案をしてくれる」わけではありません。

先ほど説明した持ち株会社にしても、銀行にしてみれば持ち株会社に巨額の融資をすることができ、被相続人には多額の現金があるので今度は様々な金融商品の提案や、「そのお金で不動産を買いましょう」といった話ができることになるため、銀行は非常に熱心です。

ただし、持ち株会社にはとんだ落とし穴があることは、先ほどお伝えしたとおりです。
銀行が熱心に提案してくるのは、自分たちが儲かるからです。話は半分に聞いておき、疑問があればしっかり質問し、納得できる回答を引き出すべきであり、納得できなければその提案には乗らないことが大事です。

富裕層には様々な「乗っておきたい」人からの営業があります。どれも非常に熱心ですが、それは富裕層の案件は単価が大きく、営業マンの成績上非常にプラスだからということを、しっかり理解しておく必要があります。

6-2.借金をしてアパートを建て、自宅を手放すことになった富裕層

現在非常に多くなっている「相続税ビジネス」が「アパート、マンションの建設」です。アパート、マンションを建てることで相続税対策になることを、先ほど詳しく説明しました。
「相続税対策で、余っている土地を有効活用しませんか?」「アパート、マンションを買って相続税対策しませんか?」と営業をかけてくるアパート、マンション建設業者がたくさんいます。

業者はアパート、マンション建設で相続税対策になるほか、そこから収益があがればより収入も増えるとそのメリットを説いてきます。実際に建てている人もたくさんいます。

業者の言うことは間違っていません。ただし、残念ながら「そのアパート、マンションが満室になったら」と条件が付きます。
むしろ、アパート、マンション建設に手を出して、財産を失ったという人がたくさんいます。その数は今後ますます増えていくと予想されます。

アパート、マンションは建てれば終わりではありません。その建物に入居者がいて、家賃が支払われることで建設にかかる費用がペイできて、さらにそれを上回る収入を得続けることで初めて成功となります。

人口減少社会なので、マーケットが縮小しますから今後それほど多くのアパート、マンションは必要なくなります。
にもかかわらず、相続税対策を目的としたアパート、マンションは増え続けています。
需要は減るのに供給は増える、アンバランスな状態が起きているのです。
現に、アパート、マンションの空室率は上昇しています。今までは人が入っていたところも埋まらないような事態になっています。

空室率上昇の図

アパート、マンションは持っているだけで固定資産税などの費用が発生します。
建設に数千万円、数億円の費用が発生し、借入金の返済は必要ですから支払いは常に発生します。その後も埋まらなければ、数年にわたり赤字を垂れ流す事態にもなりかねません。
「そんな物件、手放せばいい」と考える方もいますが、赤字を垂れ流す物件はタダでもいらないという人がほとんどゆえ、買い手がつきにくく、ついてもひどく安い金額で買い叩かれます。
節税できた相続税額をはるかに上回る、大幅な出費です。

手放すこともできず支払いを続けた結果、ついに財産そのものが尽きて自宅を手放した、全財産を失った人もいます。

不動産を購入することは、大変なリスクを取ることでもあります。不動産による相続税対策は、そのリスクを取って行うべきことかどうかを、しっかり検討する必要があるのです。

6-3.タワーマンションの対策は税制改正に注意しよう

タワーマンションの節税も同様です。相続税対策としてすぐに行えるのがメリットで、一定の節税効果も期待できます。
デメリットとして、こちらも同じく賃料をしっかり考える必要があります。あまり高いと人が入ってくれず、かといって安すぎると赤字になってしまいます。
周りの地区の家賃相場はどのくらいか、同じようなマンションはいくらくらいで貸し出されているのか、といったことをしっかり調べたうえで家賃設定する、そもそも購入するかどうかを判断する、といったことをしていただきたいと思います。

また、タワーマンションは2018年よりマンションの階によって評価減を増減するような評価方法を見直す税制改正が検討されています。
そうなると、タワーマンションだからこその節税効果は減少します。
税制の改正や市場の変化などをしっかり見たうえで、購入を検討する必要があるのです。

不動産ビジネスは「1に立地、2に立地、3、4がなくて5に立地」と言われるくらい、立地が勝敗を左右します。「節税になるから不動産を購入する」ではなく「不動産ビジネスを行ったとして勝てる不動産を入手する」を大前提に、そこからできる相続税対策を行う、くらいに考えていただきたいと思います。

6-4.そもそも相続税対策、そんなに必要?

富裕層の相続税対策は、「ものすごく対策する」人と「ほとんど何もしない」人に分かれます。
では相続税対策をしっかり行い、準備万端という人が相続税を大幅に節税し、何もしなかった人が巨額の相続税を支払う羽目になり、先祖代々の土地や家を手放したのでしょうか?

答えは「NO」むしろ逆のこともありました。
相続税対策をしっかり行った人ほど多くの支出がかさみ、土地や家屋を手放したり、財産の多くを失ったりすることが多く、何もしなかった人は相続税は支払ったものの、無理なく支払えるレベルだった、というケースがたくさんあるのです。

なぜそのようなことになるのか? 理由は大きく分けて2つあります。
1つは、「自分がどのくらい相続税を払うのか、正確に把握していない」こと。相続税のベースになるのは、「どのくらい資産があるか」です。この点をしっかり理解していないために、必要以上の相続税対策をしてしまっているケースがよくあります。

2つ目の理由が「周りの声に惑わされる」です。
理由の1とも関連しますが、自分がどのくらいの相続税を支払う必要があるか把握していないと、いろいろな「相続税を安くするお手伝いをします」という提案に、心惑わされてしまいます。
銀行の「持ち株会社で自社株を相続し、事業承継もスムーズに行いませんか?」という提案に乗って自社株を息子に売却した結果、動かさなければ発生しなかった巨額の相続税が発生するようなケースもあります。

何もしなかった人には、自分がどのくらい相続税を払うことになるのか把握していなかったタイプもいますが、金額について理解したうえで、大した額ではないと思い特に手を打たなかった人も大勢います。

やはり大切なのは、自分がどのくらい相続税を払うのかを正確に知ることです。多くの人がわかっておらず、また不動産のような評価基準がいくつもあるものだからこそ、正確に知っておく必要があります。

いちばん評価に時間がかかるのが、不動産です。不動産には「路線価」という評価基準がありますがそれはあくまでも評価基準の1つで、公示価格、基準地価、固定資産税評価といったほかの価格もあります。
また、土地の大きさも実測してみると登記簿と結構違うことがよくあります。特殊な評価がされる土地を持っていることもあります。
不動産に関しては、一度専門家に依頼し、正確に把握しておいたほうがよいでしょう。

不動産に関しては、一度正確に評価額を把握したうえで、収益を生んでいるもの、損を生んでいるものというように分けてみるとよいでしょう。
先祖代々の土地とはいえ、損ばかり生んでいて持ち続けるのが今後大変になるというのであれば、手放すのも戦略の1つです。

手放すか、あえて残すかは個人の自由ですが、どうするかの判断材料となるのが、財産の正確な把握なのです。

6-5.手間暇費用をかけて相続税対策より、少し相続税を払ったほうがよいケースも多い

また、富裕層だからといってそう巨額の相続税を支払うことも、相続税におびえることもありません。
多くの富裕層のマネーに関する相談に乗っている税理士の金井義家氏の『相続対策で消える富裕層、生き残る富裕層』によると、金井氏が東京都在住、資産の時価総額が1.75億円、家族は配偶者と子供2人で自宅と賃貸アパート、現預金程度の富裕層の相続税を試算してみたところ、相続税は一時相続で345万円、二次相続で120万円でした。
1.75億円という相続財産に占める相続税の割合は、2.7%です。もちろん払わずに済むならそれに越したことはありませんが、それは無理な話です。
むしろ、1.7億円を守り、引き継ぐための費用が500万円で済むなら安いもの。

先述のように、借金を背負い、赤字になり場合によっては自宅も財産も失うリスクを負ってまでアパートを建てて、支払うのを防ぐ金額でしょうか。
「何も相続税対策をしなかった」富裕層が巨額の相続税を払わずに済んでいるのは、このような理由でもあります。

金井氏は、相続財産に占める相続税の割合が、一次相続、二次相続含めて8%であれば、相続税対策は何も要らないと言っています。
8%を超えるようであれば、これまで述べてきたような相続税対策が効果を発揮します。

相続税は累進課税なので、総資産額が多ければ多いほど税率が上がり、相続税の割合があがってきます。
逆に言えば、そのくらい資産そのものが多いのであれば相続税対策は効果があるということです。

あくまでも目安ですが、最高税率55%が適用される富裕層の資産額は純資産で20億円以上とされています。
そのくらい資産が多いならば、アパート、マンションを購入するなどして相続税対策をすることにも効果が出てきて、また失敗時のリスクもかなりヘッジできます。

6-6.生命保険の払いすぎで生きている時に苦しくなった富裕層

生命保険は相続人1人あたり500万円まで非課税となりますが、相続でアドバンテージの大きい「一時払い終身保険」の場合、1回で数千万円の高額な保険料を支払う必要があります。
支払いは現金ですから、それだけの額を用意するのも、また出ていったあとも大変です。それによりキャッシュに苦労する富裕層も少なくありません。
保険料の支払いのために、別の金融資産を現金化するようなことが起きては本末転倒です。
節税はあくまでも節税であり、もっと収入を生むかもしれないことを削って行うことではありません。

対策を打つことで、相続するだけで払うことになる相続税を少なくできると聞くと熱心な人が多いのですが、儲けに比例して税金の支払い義務が生じるように、そもそもの資産があるから相続税は発生します。
税金を減らすためにそもそものお金を減らすのは、目的が変わってしまっているとも言えます。

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