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富裕層のための相続税節税
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富裕層のための相続税節税術

7.そもそも誰に相続してもらうのか

相続を「争族」にしないために、「誰に何を相続してもらうのか」を決めておくことも大切です。
富裕層の相続は「相続税」という大きな共通の敵と対峙するわけですから、味方が仲間割れを起こしている時間はありません。
被相続人と相続人、税理士等専門家が一枚岩となり、相続税という強力な敵と向き合えるようにしたいものです。

7-1.富裕層の相続は「争族」にはなりにくい

最後に、相続税以前の「誰に相続させるのか」についてまとめておきたいと思います。
遺産の取り分をめぐり、遺族が争う「争族」が多発しています。
その争いは泥沼化し、裁判沙汰になっているケースもよくあります。

富裕層の相続では、「争族」は発生しにくいとされています。「財産は少ないほうが揉める」とされ、「兄は大学に行かせてもらったのに私は行かせててもらえなかったから、遺産は多くもらってもいいはず」というように、少ない財産の取り分をめぐるものであることが多いからです。

富裕層の相続は、多くの場合「お金で解決」します。たとえば、自宅兼社屋にして工場の会社を経営し、子供は男兄弟が3人ほどいるオーナー社長がいたとして、社長は事業を手伝ってくれている長男に工場や社屋などを受け継いでもらいたい、ただし次男三男にも遺産を分けるために不動産を分割する必要ある、そうなると事業に影響があるというような場合、不動産は長男が相続し、次男三男には現金など別の資産を相続してもらう、足りない場合は長男が自分の財産から法定相続分に該当する支払いをするといったことを行います。

このように、富裕層の相続は世間一般に比べ揉め事になることは少ないとされています。

ただし、次男三男がそのような方針に必ず従ってくれる保証はありません。相続人には法定相続分を受け取る権利があるので、工場を壊して取り分となる土地をよこせと主張する可能性はゼロとは言い切れません。
そのようなときに役立つのが「遺言」です。

7-2.遺言があれば、相続人の手間を減らせる

遺産をどのように分割するかについては、相続人が話し合いを行って取り決めていきます。
話し合いの末に決まるのが一番ですが、全員が納得する形に決まるとは限りません。
揉め事は起こらないに越したことはありません。遺言書は、相続人同士ではスムーズに解決できそうにない遺産の分割の形について指定することが可能で、その効力は当人間での話し合いよりも高いものです。
「遺言書に書かれている=故人の意思」であるとして最優先されます。
先ほどのような、長男に事業を相続させる代わりに現金でほかの親族の相続分を代償させる代償分割という方法を採用することもできます。

遺言書がなければ、相続人は被相続人の財産を調べて、遺産分割協議を経て遺産を分割する手続きを行わなければなりません。相続税の申告期限は相続発生から10カ月と定められていて、いろいろ調べたり、相続人間で話し合い等重ねているとあっという間に経ってしまう時間です。

遺言書にきちんと書き残せるくらい財産について把握していること、そしてどのように財産を分配するかをしっかり考え伝えられること、それがよい相続対策であり、また相続税節税のうえでも効果的です。

7-3.遺言書の「無効」に注意!

遺言書は法的効果も高いのですが、気をつけるべきは「この遺言書は法的効力がない、無効」とされてしまうことです。最悪の場合遺族の誰かが「この遺言書は無効なので従わない」と言い出した場合、無効な遺言書では止める手立てはありません。

一時期「エンディングノート」が流行しました。被相続人が遺された家族に思いを伝えるものですが、遺言書の決まりを満たしていない限り、エンディングノートにどれほど詳細に記録していても、「エンディングノートには従わない」と言う相続人が出てきた場合、被相続人の願いは実現されない危険があります。

遺言書は「きちんと形式に則って書く」ことを徹底していただきたいと思います。
遺言書の形式は①自筆証書遺言と②公正証書遺言があり、②については公証人という法律の専門家が作成し、交渉役場が保管する信頼性が高いものなので無効になる心配はまずありません。

気をつけるべきは、①自筆証書遺言です。
②の公正証書遺言は作成に手間がかかり、費用も発生することから、作成自体は簡単な①の自筆証書遺言にしようという方もいますが、自筆証書遺言が新たなトラブルの種になるケースもあります。
もっとも多いトラブルが、書式不備による無効です。

自筆証書遺言を書くときのルールとして、遺言書の全文と日付、氏名はすべて自筆し、押印の必要があります。パソコンなどで印刷したものや、代筆、録画、録音したものなどは遺言書として認められません。
日付の記載も必須で、日付が抜けていると無効です。

内容を変更したいときは厳密なルールに基づいて行う必要があり、本文は有効でも修正された内容が認められないという事態も起こり得ます。

何かしら内容や書式に不備があると、それは無効になってしまいます。

トラブルの2つ目が、「財産内容がきちんと反映されていない」です。これは公正証書遺言でも起こり得ることですが、遺言書は書かれたときが基準になっているので、その後新たな財産が増えたり、また減ったりすると、そのことについて触れられていないものになります。
遺言書で触れられていないことで、新たなトラブルが生まれる可能性があるので、適宜遺言書はアップデートする必要があります。
自筆証書遺言であれば修正する、もしくは書き直す、公正証書遺言であれば交渉役場に行き新たな遺言書を作成する必要があります。

トラブルの3つ目が「見つからない」自筆証書遺言の場合、弁護士などに託してあればよいのですが、生前に見つかるのを防ぐために、家財道具の奥などに目立たぬよう入れてあるケースがあります。
遺産分割協議が終了したあとに遺言書が発見されるようなことも起こり得ます。

相続の終了後に出てきても意味がないうえに、仮に故人の遺志を尊重するとなると、相続をやり直すことになるかもしれません。

また、遺言書は発見された時点で開封せず家庭裁判所で中身を確認する「検認」という作業が必要です。
この作業を行って遺言書があることを相続人に知らせ、また偽造や変造を防止します。なお、検認自体は遺言書の有効性を判断するものではないので、検認を受けても遺言書自体が無効になることはあり得ます。

まとめ

スムーズな相続対策、相続税の節税は、
1.どのくらいの財産があり、相続税がどのくらい発生するかを正確に把握する
2.その数字をもとに、相続税対策を行う必要はあるか、対策するのであれば何を行うか、を決め、実行していく
3.すぐにできるもの、時間をかける必要がある、相続人の話し合いが要るものなどがあるので、計画的に行う
4.全体の道筋を立てるうえでも、被相続人は遺言書を作成する(公正証書遺言が望ましい)

参考文献、資料

・『相続対策で消える富裕層、生き残る富裕層』金井義家 日本法令
・『お金持ちの教科書』加谷珪一 CCCメディアハウス
・『お金持ちのための最強の相続』田中誠 実務教育出版
・『不動産投資「収益計算」のすべて』玉川陽介 技術評論社

・税理士が教える相続税の知識”/>

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